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「終わり」を意識する転換期

会社を辞め、今の仕事に転職した日には気持ちを改めるために早起きをして朝日が昇るのを見に行った。

結婚した時にはもちろん幸福感に包まれ、これから始まる甘い生活に夢を見た。

転職も結婚も人生の転換期であるのは確かで、私も転職・結婚する際には新しい生活が始まる高揚感をそれなりに味わっていた。

しかしどちらの転換期も迎えるにあたって「新しいことの始まり」は意識するものの「これまでの生き方の終わり」を意識することはなかったと思う。

転換期なのだから新しいことが始まると同時にこれまでのことが終わるはずであるにもかかわらず。

そんな私だが春に妊娠し、明日出産予定日を迎えようとしている今、「これまでの生き方の終わり」を強く意識している。

自分の役割が変わるからだろうか。

それならば転職にも同じことが言える。

家族が増えるからだろうか。

それならば結婚にも同じことが言える。

とにかく根拠はないが、今後はこれまでの生き方がただ通用しなくなるだけでなく本当の意味で「終わる」のだという確信がある。

これまでの30年は時に悩み苦しみながらもがむしゃらに努力することに重きをおいてきた。

そうした生き方は決して楽ではなかったが、それでも強い輝きを放ち、充実したものだった。

私はそうした生き方をずっと大切にしてきた。

ずっと大切にしてきたものを手放すのだからもう少し惜しいという気持ちがあっても不思議ではないはずなのだが、特に臨月に入ってからのここ数週間は遠ざかっていくその輝きを追いかけることもなく、穏やかに眺めているだけの日々を過ごしている。

明日はいよいよ出産予定日であり結婚記念日でもある。

初産の場合出産予定日当日に生まれる確率は5%程度らしいため、予定日だからといって明日生まれるとは限らないが、それでも夫は明日の午後に休みをとってくれたらしい。

「焼肉でも食べに行こうか」

二人だけで過ごす時間もあとわずか。

残りの時間をゆっくり楽しみながら、最後の時がくるのを待つ。



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