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価値なき挑戦

ふと、どうでもいいことに挑戦したくなることがある。

「今これができるようになっておけば、後々例えばこういう時に役立つかもしれない」

といったこともとりあえず考えないわけではないものの、だいたいの場合それは所詮誰かに対する弁明でしかなく、確かに否定できないものだったとしてもその実、

「ただちょっとやってみたい」

程度でしかないようなことに、無性に挑戦したくなることがある。

これから娘の登園も始まる。

幼稚園での給食が始まれば、私は一人で昼ごはんを食べることになる。

そうなると手早く一人分のご飯を作ることができるスキルというのは、きっと自分の健康や精神的な豊かさをもたらすことだろう。……

……という発想がなかったわけではないが、これももちろん夫でも娘でもない、誰かに対する弁明で、私は先日のプロコワで仕事をすることになっていた日、「ただちょっとやってみたい」という理由で朝食の準備の傍、一人分のカレーを作って弁当として持って行った。

昼ごはんの熱々のカレーは想像しただけでもワクワクするものだが、所詮食材を切って鍋に入れてしまえばあとは煮込むだけ。

その間私と娘は朝食をとり、朝の支度を済ませればいい。

実際にその通りに手順は進み、娘を母に預ける準備をし、着替えとメイクを終え、作ったカレーをスープジャーに入れ、クロスで包み、仕事をするためにプロコワに足を運び、昼時、いざ食べんとクロスを開けて、

「ご飯忘れた……」

慌てて近くのスーパーでおにぎりを買うことにはなったものの、とりあえず昼ごはん用の一人分のカレーを作ることには成功した。


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