
私は運がいい人間だ。
これまでに何度か危機に瀕したこともあったがその度に何とかなってきたから今ここでこうして生きている。
ただ、その強運に対して私は少し卑屈すぎた……とも思う。
「全部運が良かったから」
私は得られたものに全てにそんな負い目を感じ、自分自身の努力や能力を否定するところがあった。
強運を使いこなすのもまたその人次第。
それでも妊娠・出産を機にそんな卑屈さも少しは和らいだように思う。
娘はお腹の中で臍の緒が玉結びになっており、もしあの時帝王切開にしていなければ元気に生まれることができなかったかもしれない。
さまざまな偶然が重なった結果元気に生まれることができた娘が強運を使いこなすための能力を身につけられる環境を、長い間自らの強運に負い目を感じてきた私は提供していきたい。
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