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未到の地で見た幻

以前中華料理店での30人規模の飲み会に参加した際、次から次へと運ばれてくる、メニューでは見たことがあるだけで自分では注文したことがないような料理を互いに分け合って食べる楽しさに気づいた。

昨日の夕飯時には家族で近所にあるインドカレー屋に足を運んだ。

もう何年もの間何度も訪れた、今ではすっかり家族全員顔を覚えられている馴染みの店での私たちの定番の注文は、

「ナンと好きなカレーにチキンティッカがつくBセットかタンドリーチキンがつくCセット」

だったが、昨日はインド料理店でも同じことが言えるのではないだろうかということで、

  • ビリヤニ2皿
  • チキンティッカとタンドリーチキンなど肉料理の鉄板盛り合わせ2人前
  • 生ビール1人分

と娘のお子様カレーセットを注文し、初めてのメニューに挑戦することにした。

結婚生活は8年、付き合い始めてから15年。

その間ずっとラブラブだったというわけでは決してなく、見栄と世間体だけで乗り切った時期は何度もあった。

かといって蜜月期の再来のような時期がなかったというわけでも決してない。

結婚当初誰もが思い描く「おじいちゃんおばあちゃんになっても手をつないで仲良く散歩しているような夫婦」というのはずっとそうだったというよりも、アップダウンの全てを受け入れてこそなのだろう。

「香辛料ってただ辛いだけじゃなくて『香』も重要なんだね……」

初めて食べる料理に対する新鮮な感動もさることながら、初めて見るインド料理店での我が家のテーブルの向こうに控える夫と娘もまた、私には非日常的な幻想として映った。


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