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メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』読書感想文

初めての出産ということで妊娠期間中からこれから始まる育児についての不安が尽きない。

無事出産を終えた今でも「この子を幸せにできるだろうか」と思ってしまう。

こうした不安を解消するヒントがあるのではないかと思った私は、妊娠期間中にこれまでにも何度か読んだことのある大好きな小説『フランケンシュタイン』を手に取った。

『フランケンシュタイン』は人間の手によって創造された怪物とその創造主とのやりとりを通して人間らしさとは何かが描かれたSF小説だ。

誕生した直後に自分を創造した科学者・フランケンシュタインに捨てられた怪物は、寒さや暑さに強い肉体ではありながらも自然から受ける刺激や自分の体の反応に驚き、自分がいかに無力で惨めな存在かを自覚する。

出産後、ベッドに横たわっていると子宮が収縮するとともにそのほかの内臓が元の位置に戻るために動くのを感じた。

31歳の私は例え自分の腹の中から「ゴゴゴ……」という音が痛みを伴いながら聞こえたとしても「今は体が回復しようとしてるんだな」と理解でき、驚くことはない。

しかし生まれた後も内臓が未発達でありこれから身長も体重も大きくなる予定の赤ちゃんは、自分自身の体の変化が理解できず不安になるのも自然なことなのだと思う。

さらにそこに暑さや寒さなどの慣れない環境からの刺激が加わる。

そのためさっきおっぱいをあげたばかりで、おむつも替えたばかりで、部屋の気温・湿度も問題なく、体調に異常もない娘が、それでも尚泣き止まないのを見ても私はあまり焦ることもなければ自分を責めることもない。

妊娠期間中は頭がぼーっとしてしまい、なかなか読書ができずにいた。

限られた時間と体力と思考力の中で、

「育児のヒントになることが書かれているかもしれない」

と考え、『フランケンシュタイン』を読んだのは正解だったと思う。


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