「そういう時間がないと、能世さんは暴走したまま日々を過ごしちゃうんじゃないですか?」
少し前に会った知り合いにそう言われて思わず「なるほど」とうなずいてしまった。
家事に育児に仕事にと、確かに充実してはいる。
それはありがたいことだけど、いつの間にかそれに追われている「だけ」になってしまうことがある。
忙殺されることを防ぐためにも、日中のおやつタイムは無理矢理にでも設けたい。
といった話をしたときのことだった。
娘がお昼寝をしている時間はそんな私にとっておやつタイムを満喫できるタイミングでもある。
居間に出した子供用の布団の上で完全に溶けている娘を横目に、抜き足差し足、数日前に届いた秘密のコーヒーの封を切る。
「ふぅー……」
袋からあふれる香りに思わず深呼吸すると、頭の中でぎゅうぎゅう詰めになっていた今日のタスクが吐息と一緒に抜けていく。
そして代わりにコーヒーの華やかな香りだけが体の中に残った。
豆を挽く音で娘が目を覚まさないかと気を配りながらも胸が高まるのをおさえられない。
コーヒー豆がもこもこと豆が膨らむ様は、クライマックス直前に訪れる、あの静かな気分の盛り上がりに似ている気がする。
「よしっ!」
マグカップにコーヒーが落ち切ったのを確認し、テーブルに運ぶ。
お供は午前中に作ったブルーベリーチーズケーキ。
テーブルにつき、お母さんが横でこっそりおやつを楽しんでいることなど知らないままぐっすりと眠っている娘を横目に秘密のコーヒータイムを満喫する。
コーヒーの香りに誘われるまま深呼吸を繰り返していると、今日の午前中に好きな漫画の最新話が配信されていたことを思い出した。
スマホを開き、その漫画を読みながらのおうちカフェタイム。
娘(とダイエット中らしいが本当かどうか定かではない夫)のために砂糖を控えめに作ったそのブルーベリーチーズケーキは、ほろ苦く華やかな香りのコーヒーによくあった。

今日のコーヒー:オリジナルブレンド CARNEIRO(カルネイロ・ブラック)
コーヒーのお供:娘(とダイエット中らしいが本当かどうか定かではない夫)のために砂糖を控えめに作ったそのブルーベリーチーズケーキ
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