私は幼少期の項羽の「字は名前が書ければいい」という屁理屈は今で言うところの、
「勉強に何の意味があるの?」
と同じで、劉邦の儒者の冠を叩き落とし放尿するエピソードは今で言うところの、
「学歴なんて関係ねぇし」
だと思いながら自分の『項羽と劉邦』の作品を執筆した。
ただ、似たようなセリフでも公立中学の教室で鉛筆を転がしながら言うのと、開成中学の教室で鼻くそをほじりながら言うのとでは訳が違う。
項羽はやはり名門の生まれだったためどんなに周りが屁理屈をこねて勉強をしようとしないクソガキに手を焼き、時には、
「やりたくないならやらんでもええわ!」
と言ったとしても、何もしないならしないでなんとなく触れているものが庶民の劉邦とは異なったのではないだろうか……と私も育児をしている今はどうしても考えてしまう。

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