
「自分よりも小さくて弱い生き物に対して『優しくしたい』と思うのは当たり前のこと。むしろそういう優しさは相手に対する優越感や自分勝手な憐憫でしかないこともある。そんなものは母性とは言わない」
妊娠する前も妊娠中も私はそう思っていた。
そんな私は今、固く張り、痛むおっぱいに吸い付く娘を見ながら、
「今の私、『たらちねの母』っぽい」
と感じる。
なぜ「母」にかかる枕詞が「たらちね(垂乳根)」なのかは諸説あり、私のこの感覚のことを指すのかは私も疑問ではあるが、あながちずれていないのではないだろうか。
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