私も歴史小説の中で布陣についての細かい描写が出てきた時に文章を読みながら布陣図を描いて楽しむことはある。
しかし苦労してようやく描き切った直後の一文で、
「こうやって布陣できたらよかったのになぁ」
的なことが書かれているのを見て、
「こんだけ苦労して描かせといて、ただの理想かよ!」
……などと腹を立てたことは何度かある。
文章から布陣を描き起こせるような読解力が大した価値を持たないことは、歴史小説では意外と多い。
むしろ布陣についての描写の目的は、「こんな作戦を思いつく軍師の頭の良さ」や「大自然を前にした人間の無力さ」を表現するためのものであることの方が多いかもしれない。

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