昔勤めていた会社では定期的にグループ会社同士の大規模な研修があり、私はそこに、
「天気の話でもなんでもいいからとにかく誰かと一度は会話する」
という課題を自らに課した上で参加し、時には昼休憩時に隣にいた別の会社の人に、
「おーいお茶の俳句何が書いてあります?」
とお弁当と一緒に配られたおーいお茶の紙パックをきっかけにしようと必死になることもあった。
テーブルというのは話題のきっかけが落ちていることが多いだけでなく、話題もセットになっているものでもあるためまだ初対面同士の会話を始めやすい。
むしろ私のコミュ力はあくまでもテーブルがあってこそのものなので、帰り道の交差点では、
「あの人帰る方向同じなんだな……話しかけたいな……あ、横断歩道渡り始めた……一緒に信号待ちするのもその先この距離感で歩き続けるのも緊張するから私は信号待ちしよ……」
にしかならず、20年後の8月もなかなか「最高の思い出」を始められない。

前を行く同じ教室の人たちの脇を歩きながら
「お疲れ様です」
としか言えないまま20年後の8月を迎える。



