『銀行員の詩集』に掲載する詩を公募で集めたものの、特に第一回は応募総数に対して採用数が少なかった理由はもう一つある。
それは、
「便箋やノートの切れ端に書かれたものがそのまま送られてきたから」
というものだったらしい。
そもそものフォーマットを知らなければ土俵に上がることさえできないというのはある意味当たり前なのだが、所詮普段から文章を書く習慣がない人のイメージする「文章を書く」とはそんなもので、スマホが普及しDXが進んだとしても直感でフォーマットを理解できない人は一定数いるのだろう。
ただし、2回・3回と応募した人は必ずいたわけで、そうした人たちの中にはきっと、
「内容勝負とか言ってないでまずはフォーマットを整えよう」
と考え改善した人もおり、だからこそ『銀行員の詩集』は第一回で終わらなかったのだと思う。
「フォーマットの欠点」は自分では気づきにくい分他人からもたらされる情報によってのみ改善が進められるものだから、実は内容よりもそうした改善にこそ本気度は現れるものなのかもしれない。
『〈サラリーマン〉の文化史 あるいは「家族」と「安定」の近現代史』鈴木貴宇

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